ソフトバンクの孫氏は著書の中でリスクと危険に言及しています。「リスクは危険の中で最大被害が見積もれるものを言う。それ以外の危険は避ける」と言っています。
さて、この言葉で裏を返すと危険とは最大被害が見積もれないものを言います。表現方法が悪いかもしれませんが博打・投機に近いものかもしれません。だから企業経営においては、最大被害が見積もれないような危険を冒してはいけないことになります。
さて、一方、最大被害が見積もれるリスクですが最大被害が見積もれるからと言ってすべてのリスクを冒しても良いかというとそうではありません。リスクを冒して失敗したときに企業経営を揺るがさないことが大前提となるのです。
まずはリスクを冒すときに撤退基準をあらかじめ決めておいて確実に条件を満たしたら撤退することです。新規事業、設備投資、新商品開発など必ずリスクを伴い失敗すると被害が出ます。事前に、3年で黒字化しなかったら撤退、資金5千万円使い果たしたら撤退などの基準を決めて確実に履行することです。
また、撤退は進出するときの10倍の労力が必要となります。よく考えてみて下さい、ブレーキのない自動車、バックのできない自動車がどれだけ危険かはわかるはずです。
さて、企業経営において環境変化について行くことは必然なので少なからずリスクは冒す必要があります。言い換えると環境変化について行くためにはチャレンジが必要です。そして、チャレンジには少なからずリスクが伴います。そして、そのリスクを負ったときに企業経営が傾かないことが肝要です。
さて、最大被害がわかっていれば、傾くかどうかは事前にチェックができるのです。それは最大被害を被った状況を想定して、当座比率と自己資本比率がどの程度悪化するかをみるのです。当座比率が150%以下、自己資本比率が50%以下になるようでは最大被害が大きすぎると言えるでしょう。
それでも企業経営においては環境変化について行くためにチャレンジしてリスクを冒すことが必要です。そして、リスクをコントロールすることです。